• 検索結果がありません。

佃達哉(助教授) 分子研リポート2004 | 分子科学研究所

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "佃達哉(助教授) 分子研リポート2004 | 分子科学研究所"

Copied!
3
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

228 研究系及び研究施設の現状

佃   達 哉(助教授)

A -1)専門領域:物理化学、クラスター科学

A -2)研究課題:

a) 金属クラスターの精密合成と構造評価 b) 金クラスターの触媒機能の探索・解明

A -3)研究活動の概略と主な成果

a) 我々は,チオール単分子膜で保護された金属クラスター(monolayer-protected clusters; MPC s)の特異的な性質や機能 がどのような構造因子によって支配されているのかを解き明かすことを目指している。特に,サブナノメートルサ イズの金属クラスターをコアとする MPC の性質は,コアサイズだけでなくチオールの配位に対して顕著に変化す ることが予想される。そこで,化学組成が原子・分子レベルで規定された MPC を系統的に合成するための方法論の 開発に取り組んでいる。

a1) 精密かつ系統的な組成制御を目指して,ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PA GE )を用いた分離法,およびエレクト ロスプレーイオン化質量分析法による組成評価法の開発を行った。今年度は,質量分析装置にリフレクトロンを導 入することによって組成評価の精度を向上させるとともに,多連の PA GE 装置を用いて一度の操作で mg スケール の単離を可能とした。例えば,グルタチオンと呼ばれるトリペプチドを保護分子とした金クラスターについては,10– 40量体の領域で9種類のMPC の完全単離を実現した。本合成法は,解離性チオールで保護された無機クラスター一 般に対して適用することが可能である。

a2) 組成が規定された一連のグルタチオン保護金クラスターの電子状態を,紫外可視吸収分光,X PS,蛍光分光法を用い て調べた。得られた吸収スペクトルの特徴的なプロファイルは,分子研信定助教授による理論計算の結果に基づい て合理的に解釈することができた。本研究を通して,金(I)チオラート錯体とチオール保護金ナノ粒子を繋ぐ中間領 域のクラスターの構造転移について系統的な理解が得られた。

b) 担持金ナノ粒子がC O 酸化反応に対して高い触媒活性を示すことが発見されて以来,金ナノ粒子の触媒機能の発現 メカニズムの解明や実用触媒への応用に向けた研究が活発に繰り広げられている。我々は,金クラスターを有機分 子と複合化することによって,反応活性サイトの幾何構造・電子状態だけでなく反応場の立体環境が制御された触 媒系の創製を目指している。

b1) 代表的な水溶性ポリマーpoly(N-vinyl-2-pyrrolidone)で安定化された金ナノ粒子を系統的に調製し,水中における有

機化合物の酸化反応に対する触媒活性を調べた。その結果,金クラスターが空気中の酸素分子によって活性化され, 比較的温和な条件下でカップリング反応やアルコール酸化反応に対して高い活性を示すことが明らかになった。本 研究は,分子研櫻井助教授,千葉大一國講師との共同研究である。

b2) 組成が規定されたチオール保護金クラスターを出発物質として金クラスターモデル触媒系の構築を目指している。 そのための要素技術の一つとして,水溶性チオール保護金クラスターの単分子膜生成法を検討した。

(2)

研究系及び研究施設の現状 229 B -1) 学術論文

Y. NEGISHI and T. TSUKUDA, “Visible Photoluminescence from Nearly Monodispersed Au12 Clusters Protected by meso- 2,3-Dimercaptosuccinic Acid,” Chem. Phys. Lett. 383, 161–165 (2004).

H. TANAKA, K. TAKEUCHI, Y. NEGISHI and T. TSUKUDA, “Highly Oxygenated Fullerene Anions C60On Formed by Corona Discharge Ionization in the Gas Phase,” Chem. Phys. Lett. 384, 283–287 (2004).

H. MURAYAMA, T. NARUSHIMA, Y. NEGISHI and T. TSUKUDA, “Structures and Stabilities of Alkanethiolate

Monolayers on Palladium Clusters as Studied by Gel Permeation Chromatography,” J. Phys. Chem. B 108, 3496–3503 (2004). Y. NEGISHI, Y. TAKASUGI, S. SATO, H. YAO, K. KIMURA and T. TSUKUDA, “Magic-Numbered Aun Clusters Protected by Glutathione Monolayers (n = 18, 21, 25, 28, 32, 39): Isolation and Spectroscopic Characterization,” J. Am. Chem. Soc. 126, 6518–6519 (2004).

H. TSUNOYAMA, H. SAKURAI, N. ICHIKUNI, Y. NEGISHI and T. TSUKUDA, “Colloidal Gold Nanoparticles as

Catalyst for Carbon–Carbon Bond Formation: Application to Aerobic Homocoupling of Phenylboronic Acid in Water,” Langmuir 20, 11293–11296 (2004).

B -4) 招待講演

佃 達哉 , 「魔法数サイズ金クラスターの単離と構造評価」, 第 52 回質量分析総合討論会 , 名古屋 , 2004 年 6 月 . 佃 達哉 , 「有機単分子膜保護クラスター」, 2004 分子構造総合総合討論会 , 広島 , 2004 年 9 月 .

B -6) 受賞、表彰

佃 達哉 , 第 11回井上研究奨励賞 (1995).

B -6) 学会および社会的活動 学協会役員、委員

日本化学会東海支部代議員 .

B -10)外部獲得資金

基盤研究 (C )(2),「単分子膜保護金属サブナノクラスターの電子状態と発光メカニズム」, 佃達哉 (2004年 -2005年). 住友財団研究助成 , 「有機・金ナノクラスター複合体の精密合成と触媒機能の探索」, 佃達哉 (2004年).

総研大共同研究 , 「有機・無機ナノ粒子複合体の構造と機能」, 佃達哉 (2002年 -2004年).

若手研究 (B ), 「化合物半導体クラスターにおける量子現象の解明―単分散したクラスターの合成法の利用」, 根岸雄一 (2002年 -2004年).

奨励研究 (A ), 「分子クラスター負イオンの電子構造と化学反応過程」, 佃 達哉 (1998年 -1999年). 奨励研究 (A ), 「分子クラスター表面における光誘起反応のダイナミクスに関する研究」, 佃 達哉 (1997年).

C ) 研究活動の課題と展望

チオール保護金属クラスターを系統的かつ精密に単離する技術は,ほぼルーチン作業といえるレベルに成熟した。構造評 価・物性測定の実験結果を信定助教授の理論計算の結果と比較検討しながら,チオラート錯体と金属ナノ粒子の中間の

(3)

230 研究系及び研究施設の現状

“ missing region” でのチオール保護金属クラスターの構造転移について基礎的な理解を深めてゆきたい。一方,ポリマーで 安定化された金クラスターが水中で触媒活性を持つことをはじめて見いだした。櫻井助教授と連係しながらサイズ依存性 や反応のバリエーションを探ってゆく。今後,蓄積した技術と知識を総動員して金クラスター触媒系を精密に合成し,その反 応機構を明らかにしたい。

参照

関連したドキュメント

 ところが、転換証券を使った伝統的ではない資金調達手法には、転換によって発行され

「経常収支比率」は、一般会計からの補助金など の収入で収支の均衡を保っているため、100%で推

大学で理科教育を研究していたが「現場で子ども

これは基礎論的研究に端を発しつつ、計算機科学寄りの論理学の中で発展してきたもので ある。広義の構成主義者は、哲学思想や基礎論的な立場に縛られず、それどころかいわゆ

線遷移をおこすだけでなく、中性子を一つ放出する場合がある。この中性子が遅発中性子で ある。励起状態の Kr-87

実際, クラス C の多様体については, ここでは 詳細には述べないが, 代数 reduction をはじめ類似のいくつかの方法を 組み合わせてその構造を組織的に研究することができる

 母子保健・子育て支援の領域では現在、親子が生涯

児童について一緒に考えることが解決への糸口 になるのではないか。④保護者への対応も難し